N爺の藻岩山麓通信 |
*2007年4月発行の『北加伊道カルタ』を「わ」から「あ」に遡るかたちで順次ご紹介します。以下はカルタ解説文です。原文は縦書きで小学4年生以上を対象にルビを振りました。(北海道カルタをつくる会 代表 伏島信治)
明和(めいわ)6年(1769)、淡路(あわじ)島(しま)で生まれた嘉兵衛は、回船業者として蝦夷地(えぞち)と関西を結ぶ北前(きたまえ)航路(こうろ)で活躍(かつやく)していました。寛政(かんせい)10年(1798)、幕府の役人近藤(こんどう)重蔵(じゅうぞう)が択捉島に渡(わた)り、『大日本(だいにほん)恵(え)登(と)呂府(ろふ)』と書いた木の柱を建てて択捉・国後は日本の領土(りょうど)であると宣言(せんげん)したときも、嘉兵衛は頼(たの)まれて難所(なんしょ)といわれた択捉への航路を開いています。 しかし、嘉兵衛が択捉(えとろふ)島(とう)から海産物を積(つ)んで箱館(はこだて)(現(げん)・函館(はこだて)市)に帰る途中(とちゅう)、ロシアの軍艦(ぐんかん)に捕(と)らえられるという事件が起こります。その原(げん)因(いん)は文化(ぶんか)8年(1811)、ロシアから貿易(ぼうえき)を求めてやってきた軍艦の艦長(かんちょう)ゴロウニンを捕らえたことにあります。副艦長リコルドは、ゴロウニンの釈放(しゃくほう)を訴(うった)えましたが認(みと)められないため、人と人の交換(こうかん)をしようと考えたのでした。 カムチャッカで一年近い抑留(よくりゅう)生活を送るうちに嘉兵衛は、イルクーツク総督(そうとく)などの信頼(しんらい)を得て日本に戻(もど)され、幕府(ばくふ)との交渉(こうしょう)の結果、ゴロウニンも釈放。函館の町を開いた嘉兵衛は、日ロの問題解決に貢献した民間外交の人でもありました。(解説担当:蛭川剛之) #
by waimo-dada
| 2013-12-18 21:59
| 北加伊道カルタ
*2007年4月発行の『北加伊道カルタ』を「わ」から「あ」に遡るかたちで順次ご紹介します。以下はカルタ解説文です。原文は縦書きで小学4年生以上を対象にルビを振りました。(北海道カルタをつくる会 代表 伏島信治)
国内初の冬季オリンピックは昭和(しょうわ)15年(1940)に札幌市で開催(かいさい)されるはずでした。しかし、日中戦争が拡大(かくだい)する中で開催を返上。それから32年後の昭和47年(1972)2月、札幌の街は五輪の旗にあふれ、感動は宮(みや)の森(もり)シャンツェに三本の日の丸を掲(かか)げたジャンプ競技(きょうぎ)で頂点(ちょうてん)を迎(むか)えました。 それからさらに34年後のイタリア・トリノで開かれた冬季オリンピックで、日本中に感動を運んだ競技がありました。 氷上約40㍍先のハウスという円の中に重いストーン(石)を相手チームと交互(こうご)に滑(すべ)らせ、相手より中心に近いストーンをいくつ残すかで勝負が決まるカーリング。この競技はストーンを滑らせる技術(ぎじゅつ)と経験(けいけん)を支(ささ)えに、先を読んで組み立てていく奥深いゲームであることから、「氷上のチェス」ともいわれます。 トリノで活躍(かつやく)した女子代表の「チーム青森(あおもり)」は全員が道産子(どさんこ)の気の合ったチームでした。美しい雪と氷に恵(めぐ)まれる北海道は冬のスポーツが大得意。昔も今も、この北の大地で育(はぐく)んだ夢(ゆめ)を、大勢の道産子が世界の舞台(ぶたい)に運んでいます。(解説担当:伏島信治) #
by waimo-dada
| 2013-12-16 18:38
| 北加伊道カルタ
観る前に読み直すか、観に行けそうもないから本でも読むか・・・。
札幌座が11/29〜12/2、新札幌のサンピアザ劇場でカレル・チャペック原作「ロッサム万能ロボット会社」を上演します。どんな芝居にして魅せてくれるか、いま多くの市民の注目を集めています。 というのも、国がいよいよ「特定国民ロボトミー保護法案」を国会に上程しようとしているからです。 芝居を観に行けるかどうか長患いでちょっとビミューなわたしは、とりあえず栗栖茜訳の『カレル・チャペック戯曲集Ⅰ』を図書館で借りました。 そして、それとこれとはまったく脈絡ない話ですが、新聞の書評で知った赤坂憲雄さんの新作『北のはやり歌』を本屋さんに注文しました。北方系住民としては見逃せない本ですので。 で、新聞記事の切り抜きと図書館で借りたチャペックの戯曲集がたまたまお近づきになると、あれまあになりました。 「孫が読む漱石」の新聞記事と本の表紙をご覧ください。 イラストレーションの作者は和田誠さん(1936年4月生まれ)です。 いつまでも現役でよいお仕事を、と祈らずにはいられません。 ついでながら今日はエゾモモンガが事務所の窓に初登場。 こないだ冬支度を終えたばかりのエゾリスの巣を横取りせんとうかがっています。 わかります? とてもよくできた保護色なので、自然のなかで眼球をしっかり作動できない人は見すごします。 いつも忙しく眼がばたつかせている人は、窓の外をそっと見やることなどないでしょうけど。 健常者のみなさま。モモンガはともかく、よいお芝居はお見逃しなさいませんよう。 #
by waimo-dada
| 2013-11-19 10:56
| アートな日々
2013年上半期の直木賞を受賞してブレークした桜木紫乃さんのお話がおもしろい。
たいそうな評判をとった9月5日の道新ホールでの講演は聴き逃したが、11月16日の毎日新聞「特集ワイド〜近藤勝重の世相を見る 作家桜木紫乃さん」はいまのところ新聞社のサイトに掲載されていて、全文を読むことができる。 http://mainichi.jp/feature/wide/ このなかで紫乃さんはふるさと釧路の街灯が「ただ照らし続けている」シャッター通りについて、「美しいと思うのは、私が昔の風景を実際に見ているからです。ふるさとは記憶の降り積もった場所。自分の記憶のふたをあける場所でしょうか。」と話す。 そんな土地から見た東京の街はどうかと訊かれて。 「人より走るのが速いとか、頭がいいとか、人より優れたものを持っていないと出て行けない場所。闘う武器が何か一ついる場所。疲れますね。」 「何でも手に入る。(中略)でも、望んだようには働けない。同じような気持ちで地方から出てきている人、いっぱいいるんだろうな」 のどがつまるような話だった。 時代は何を変え、何を変えないでいるのか。 人には歩くことでしか自分を立てられない夜がある。 今夜も外灯がひとつ、彼、彼女の背中をぼんやりと照らしている。 釧路で、東京で、札幌で。 釧路でも東京でもない札幌に生きるってどんなことなんだろうと考えた。 まあ合の子のようなところです、というわけにはいかない。きっと、人の数だけ答がある。 わたしがいま自分について言えること。それは北海道の札幌に生きた、ということ。 家族と暮らす街、札幌。足を広げて働き、遊んだ土地、北海道。 武器はいらなかったが、何かひそかなものをひとつくらい持っていたかもしれない。 #
by waimo-dada
| 2013-11-19 10:47
| アートな日々
わたしの自宅の事務室はこの先、在宅療養の場になる可能性があります。
事務室の西の窓はサワシバ、オニグルミ、イタヤカエデ、ミズナラ、ハリギリなどの高木広葉樹が卓越する藻岩原生林のつづきです。 今日、この林に住んでいるエゾリスのM君がせっせと巣に小枝を運び入れました。まあ、けっこうな数です。寒気が入る前にヤチダモの洞のなかにエゾリス流の小屋掛けをしたのでありましょう。 それをじっと見ていた家人Bとわたしは、なんだか自分たちもいっしょに働いていたような気分になり、午後は温泉にでも行きましょうか、ということになりました。 連休明けの定山渓のホテル山水は思ったとおり静かで、ゆったりと湯浴みを楽しめました。 帰りに古川さんの軒先で温泉まんじゅうを買い、ホテル鹿の湯裏の懐かしい保養所、たくぎん栖霞(せいか)荘(1988年竣工)の前に車を進めてもらうと、北洋銀行の寮になっていました。 この保養所の設計を担当した石本建築事務所のS木さんに南茅部町の温泉施設の設計を頼んだことがあります。実直でかざらない栖霞荘に好感を持ってどなたのお仕事かと調べてたどりついた方がS木さんでした。そして、彼に担当していただいた建物が南かやべ健康村ひろめ荘(1995年竣工)、今のホテル函館ひろめ荘です。わたしが勤めていた拓銀グループの調査会社が南茅部町から公的宿泊施設の市場調査と基本計画を受注した縁で、建築設計を石本建築事務所のS木さんに斡旋したのです。 旧栖霞荘とひろめ荘は、わたしのなかでは姉妹関係の施設となりました。 時代を経て生き残っている温泉施設を見ると、それ相応の理由と背景があるようです。 たいがいが小振りで実直で、余計なものがありません。 オーナーが替わっても使われ続ける、そんな施設が、どうかこの先の時代にもありますように。 そして、わたしたちがいなくなったあとも、M君たちの暮らす林がずっとありますように。 #
by waimo-dada
| 2013-11-05 18:56
| ライフスタイル
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