N爺の藻岩山麓通信 |
今年度東川賞作家の写真家、川内倫子さんの才能はまぶしくて、若いときの自分とつい比べてしまう。
http://rinkokawauchi.tumblr.com/ むかし、自分のありさまがもどかしくて過激な山登りに走ったひとりの若者がいた。 そいつは春の槍ヶ岳北鎌尾根に挑んで、墜ちて死んだ。 メジャーになる一歩手前で北海道の地域のありさまを走るように書いていた、腕っこきのフリーライターがいた。 そいつはガンで死んだ。 いま、ネンキンという安全地帯に入った団塊の世代は何を思い、行動しようとしているのか。 まちがっていないことをこの世に残したか。なにか、つけを残していないか。つけの払いをしないまま、あの世とやらに安穏に旅立っていくのか。 わたしは、なぜこの国が当てのない戦争に突入してしまったのか、ひとりでずっと考えてきた。だれも教えてくれないから。 たくさんの本を読み、ヒロシマ、ナガサキ、オキナワをめぐった。硫黄島にはまだ行っていないけど。 元帝国陸軍憲兵隊下士官の父とABCD包囲網について論争してしまったことがある。 父はつらかった。普通に貧乏であった農民層から飛び立つために、親にいっさい負担をかけずに生きていこうと職業軍人になる道を選んだ。自由なようで「人生を選べない」、一種の志願兵である。命じられて他国の民を殺害するような修羅場に連れて行かれ、やっと生き延びて家族をなし、ただただ懸命に働いて守ってきたのに、なんで息子のお前から・・・。 わたしが当時の父だったら、ABCD包囲網を突破するためにやむを得ずはじめた戦争だ、と言ったにちがいない。それが父にとっての真実である。そうではないんだとは、だれも、新聞もラジオも、知識人でさえも言わなかった。 『はだしのゲン』が世界で20カ語に訳されて読まれている、とNHKの報道で知った。 イラクから生還した元米兵が言う。「イラクに行く前に読んでいたら」。 生還してもかれの戦争は終わらない。 かれはアメリカ陸軍に「志願」した一兵卒である。従軍についても志願せざるを得なかった若者、と推測される。 アメリカの戦争執行態勢とそれを成立させている構造について、わたしたちは無頓着すぎる。「生まれついての格差・貧困」と「就職としての就軍」がアメリカの若者の主要なライフスタイルのひとつになるなんて。 そんなことはこの国に起きないよ、とは言えない。 「何をしてもいいよ」とこないだの選挙で国民は言ってしまったのだから。「そんなこと言った覚えはない」なんて、遅すぎる遠吠え。 みんな、覚悟しなさい! わたしの伯母の夫は孤島のガダルカナルで死んだ、のではない。 国家が始めた戦争で員数を埋めるために、招集を受けて南の島に敵前上陸し、戦病死した。 死者には必ず死んだ理由がある。第◯会戦、戦死何百人、と片付けられては、死者はいつになっても歴史のなかで員数になるだけだ。 わたしはいつもだれともつるまないけれど、家族と友だちを守る選択だけはまちがわない。 まるで戦前のように息のつまる時代になるにしても、父母の世代を「世論」や一枚の紙で支配したような無責任な連中に、一回こっきりの人生を安売りしていい理由はこれっぽっちもない。 そんなことを再確認する季節が来たようだ。三陸の浜にも。
by waimo-dada
| 2013-07-31 11:09
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