N爺の藻岩山麓通信


札幌・藻岩山麓を基地に旅するN爺のブログです(写真は原始ヶ原から富良野岳)
by waimo-dada

札幌の文化芸術基本計画をただいま作成中

 昨日6月18日は朝から書類をひろげて「札幌市文化芸術基本計画起草小委員会」に灰色の脳細胞を総動員した。市民が大きく関わる文化自治に向けて将来の構想をあれこれ描くのは、世のためというのがもちろんあるけれど、この年寄りの脳細胞を活性化させる効果もありそう。が、「わたしたちの仕事に口出ししてほしくない」という役所の反応が予想された。

 文化行政のあり方を根本的に見直す方向に関して、5年後に空間を与えられる全国初のアーツセンターに4つもの市民参画型委員会(円卓会議運営、事業支援、事業評価・政策検討、広報・産業化)を機能させようというわたしの構想は、やはり抵抗を受けた。これまでの基本計画を進化させるための議論の種だがすこし刺激的だったか。しかし、具体的な場面を想定して議論しないと真に必要な基本が見えてこない。

 財政難でますます大変だが自分たちの仕事は聖域にしたい、守りたい。そうでなくても忙しいので負担の大きい仕事はふやしたくない。その気持ち、よくわかる。
 しかし、文化行政に対する時代の要請はふえている。プライドと責任感だけでは公けの仕事を担いきれない時代になっている。おおむね3年で職場職務が変わる職員だけでは専門的な文化行政は荷が重い。納税者からの負託にきちんと応えられない。
 ならば、もっと良い状況をめざして職務を大幅に「外部化」しようというのがフセジマ的単純思考法であり、提案の要である。市民、アーティスト、研究者、芸術文化団体職員など、民間に経験豊かで有用な人材が大勢いる。札幌の強みを生かさない手はない。

 時代の要請とは何か。ざっと整理しておこう。
 わたしが札幌市の最初の文化政策テキスト「札幌市芸術文化基本構想(アンビシャス札幌・21)」(1997.5)の作成をお手伝いした2年間に見知ったことは少なくない。市民、アーティストがおたがいを知らないでいること、文化イベントや助成金のことなど情報に関するニーズがとても大きいことがわかった。そこで、この基本構想では芸術文化に関する交流、情報、振興の拠点として「アートプラザの整備」が取り組むプロジェクトの例として取りあげられた。札幌において小さいながらも初めてアーツセンターの夢が語られた瞬間である。
 市民、アーティスト、自治体がたがいの活動を知り合う。そのような場を文化自治のスタート地点として、いわばプラットホームとして保障することは古くて新しい時代の要請である。

 自治体職員が文化行政のすべてを担えないことは、時代の大きな波を受けてのことでもある。人口の大幅な減少を迎える将来、都市の生き残りと産業の維持発展は若い人々の積極的な関与がなければ望めなくなる。次世代を担う若者・子どもたちを育て、まちをつくるためには、すべての関係者が連携して行動(共創、共育、協働)するほかはない。
 そうした行動、事業を支援する枠組みをオープンにし、利用しやすいように改善することも時代の要請だ。わたしたちのお金と都市の経営資源がどう使われているかを明らかにするために事業の成果・問題・課題をオープンな場で検証し、政策に反映させるという循環的な作業も欠かせない。地味な仕事だけど時代を進化させるのはわたしたち自身だから。

 そうして得た共同の経験と知見(共同知)を創作・学校・町内等の現場に還元する。感動や共感したことのアーカイブ付きで。
 また、市の内外に宣伝して文化芸術の産業化をうながす。文化芸術を基礎にまちづくりと産業の拡大再生産を図ることができるようになれば、まさに都市の自律的発展がかなうことになる。
 しかし、そこで安心しては入られない。いつもプラットホームの上に立ち戻ってたがいを謙虚に知り合う必要がある。

 さて、市民参画とはなんだろう。まず卑近なところから考えてみよう。委員会開催の時間費用は、言葉の正しい意味でのボランティア(自発的)な参画が前提にあるからびっくりするくらい短く、安くすむ。お茶代さえもかからない(わたしはマイボトルなんて言葉がないずっと以前から、札幌の水道水がベースのおいしいコーヒー・お茶持参で会議に参加している。長めの散歩はもちろん、芝居や映画を見るときにもね)。
 なによりも、議論と活動の場が広がり、手応え、やりがいが見えれば市民は元気になる。これが大きい。暮らしが楽しくなるのは消費と鑑賞だけではない。みずから供給する、創る喜びをみんなでもちたい。札幌市中央区北1西1にできる大きな文化施設の一角にそんなにぎやかな場をつくりたい(注.アーツセンターの建設取得費用は約10億円という。再開発事業のコストもかかっているからだろうが小さくない公共投資である)。おもしろい場所ができれば人が集まってくる。内から、外から、海の向こうから。

 まっすぐで誠実な抵抗とそれに対する反論から、章節のわかりやすくて論理的な組み直しまで、約2時間半、いい議論ができたと思う。いまは細かなことを決めなくていい。時代を転換する精神、肚構えが基本計画に明記されればそれでいい。やさしくない話だが。
 まっとうで役に立つ、いい基本計画をつくりたい。その点はみなに共通している。
 この会合の議事録も後日、ネット上に公開される。
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by waimo-dada | 2013-06-19 22:38 | 仕事の周辺
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