N爺の藻岩山麓通信


札幌・藻岩山麓を基地に旅するN爺のブログです(写真は原始ヶ原から富良野岳)
by waimo-dada

春が来て本が来た

 春が来た。寒がりの山羊のユキちゃんがハンカチのマントを脱いでうれしそうにしている。

 春が来た。新しい本が図書館からやってきた。予約して何カ月もしてから届いた松家仁之『火山のふもとで』と辻原登『冬の旅』。涼やかな小説と重い小説。
 来ない本もある。猪谷六合雄『雪に生きる』。わたしがかつて引っ越しの際に古書店に売った本の一冊だ。メジャーな岩波少年文庫だからどうしても必要になったらまた買えばいいと甘く考えた。が、今や猪谷さんの本は『猪谷六合雄スタイル 生きる力、つくる力』(INAX出版)を除いてすべて絶版状態。札幌の図書館にもない。あさはかだった。
 しかし、猪谷六合雄『雪に生きる』(戦前に刊行された元版)は意外と近いところにあった。北大山岳部のOB会である北大山の会が建設して北大に寄付した北大山岳館の図書室にあった。なぜすぐわかったか。サイトで検索してすぐに見つかるくらいにレファレンスが整っているからだ。山岳部の先輩であるNさんたちの長く確かな仕事に感謝しなければならない。

 先日、北大正門近くの古書店で入手した高村光太郎『赤城畫帖』は、高村のスケッチに猪谷さんが短いコメントをつけるかっこうになっている。
 たとえば「荒山頂上より鍋割山を見る」という題のスケッチにはこんなコメントがついている。
 「荒山から鍋割山への尾根伝いコースは、赤城山中で一番壮大な景観をもっているのだが、今でも通る人は極めて稀らしい。(後略)」
 わたしは今年の秋の終わりにこの尾根筋にテントで泊まる予定で、すでに群馬の友人の協力を取りつけている。昔の山仲間と燗酒をやりながら関東平野の夜景を眺める趣向である。新雪をかぶった山々も美しいにちがいない。

 冬季オリンピックのアルペン競技で日本初のメダリストとなった猪谷千春さん。その千春さんのより良いスキー環境を求めて国内移住の旅を続けた父六合雄さんは、1890年に赤城山中の大洞で生まれた。わたしはそれから約60年後に赤城山の南山麓に生まれ、荒山から鍋割山の稜線を眺めて育った。家の前を流れる荒砥川はその山中に源がある。赤城はわたしの母なる山であり、上毛かるたで「裾野は長し 赤城山」とうたわれている。
 遠い時間の向こうからこうして高村光太郎と猪谷六合雄がやってきた。
 眼下には萩原朔太郎の利根川が流れ、あのあたりが大渡橋かと見当をつけることにもなろう。
 きっと、酒と本と双眼鏡を持って出かける山旅になる。

 春が来た。木綿のマフラーが2枚やってきた。四国の今治産でグッドデザイン賞をもらっている。添えられたしゃれた商品案内につくった人たちの思いがこもっている。1枚1,050円。先日、パルコでいいイタリア製の木綿マフラーを見つけたが14,000円もした。国産で十分だし、中国産でないこともうれしい。インドアでもアウトドアでも、頭のてっぺんから足の先まで中国産なのはかんばしくない。
 念のため洗ってもらったら、ほんのすこし色落ちした。
 明日は雨だけど、洗い立ての新しいマフラーをして美術館、ギャラリーめぐりに出かけよう。
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by waimo-dada | 2013-04-14 00:08 | ライフスタイル
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