N爺の藻岩山麓通信


札幌・藻岩山麓を基地に旅するN爺のブログです(写真は原始ヶ原から富良野岳)
by waimo-dada

キョンキョンからユーミンの旅

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 2月は光の春。鎌倉から新潟まで旅をした。
 旅のテーマは“キョンキョンからユーミンへ”。

 小泉今日子主演のテレビドラマ「最期から二番目の恋」の舞台になった江ノ電の極楽寺駅をスタートして、鎌倉文学館までゆっくり歩く。
 北海道にくらべて風景の寸法が小さいせいか、のんびり歩いても町の景色がずんずん変わる。お寺の先に材木海岸が見え、坂を下り、大勢の観光客で混み合う長谷の界隈をすぎれば静かな住宅地。文学館に上がる石畳の道は木々のしつらえも美しく、清楚な湿度が心地よい。
 聖バレンタインのシーズンを迎えた文学館では、入館するとすぐに執事のような人から小説の一節を題材にしたくじが渡される。ここに来さえすれば愛らしいおみくじがだれにも届く仕組みだ。恋人のいない人はもちろん失恋した人にも当たる。やりますね、鎌倉文学館。できれば愛人とそっと行かれるとよいでしょう。
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 東京で渋谷BUNKAMURAの「白隠展」と森美術館の「合田誠展」をチェック。
 宿は東京ステーションホテル。むかし、東京ブルーノートでミシェル・ペトルチアーニを聴いたときに使った渋いホテルはいま様変わりして、昭和はロングレールの向こうにすぎ去った。
 鉄道好きの人にはドームサイトの部屋がお薦めだ。人生の朝のひとこまが見える。美しく整った通勤者たちの流れは少しもせつなくない。それどころか、あまりにきれいで、この国の人たちのいまでは古典的な朝の風景に嫉妬するほどだ。

 次の宿は群馬の山奥の法師温泉。ここは明治、大正、昭和をしっかりとどめている。歌人の与謝野晶子さんや国鉄のフルムーンキャンペーンで同世代の記憶に残る高峰三枝子さんがひょっこり現れそうで、経営者と従業員のみなさんに感謝。

 強風がやんだ朝、わたしたちが雇ったタクシードライバーは山の斜面にへばりついた集落と旧い街道をたくみにつないで群馬県と新潟県の国境(くにざかい)を越えた。
 今回の旅の一番の目的である苗場スキー場の松任谷由実がそこまでやってきた。
 一度は観たかったコンサート「SURF & SNOW in Naeba」をお世話していただいた。
 黄色信号と赤信号ばかりだった人生にありがたいことが起きようとしていた。
 それだけで十分にうれしいのに、ユーミンの仕事の現場に会うことができた。
 音楽と人をつなぐ関係者に大感謝。

 ユーミンは夜9時半から12時ちょうどまでぶっ通しで歌い、踊り、語った。
 永遠の叙情歌手にして疾風怒濤のロックンローラー、2013年2月のいま59歳。
 音楽ソフトだけではわからないその人のいまをまざまざと見ることができるライブ。
 駆けつけるわたしたちもまたライブだ。
 星のようにかがやくひとりの孤独と米粒みたいな無数の孤独が、1年に1回、どこからともなく集まって壮大な夢を見る。
 苗場でのコンサートは33回目だという。

 「駆けていかなくちゃ」
 舞台の上でちいさく独り言のように語った一瞬に松任谷由実の今が見えたように思う。
 世の老人たちよ、
 チェーホフの三人姉妹の後継者たちよ、
 生きていかなくちゃ。
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by waimo-dada | 2013-02-28 00:02 | アートな日々
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