N爺の藻岩山麓通信


札幌・藻岩山麓を基地に旅するN爺のブログです(写真は原始ヶ原から富良野岳)
by waimo-dada

山靴に優しい宿

 山道をとことこ歩き、日暮れて湯の宿に泊まる。この国の豊かさをしみじみと思うときである。
 日本人に生まれて良かったなあとひとりつぶやく。そんな山と宿がこの国にはいっぱいある。ただ惜しむらくは小さな国土に大きな人口を抱え同好の士も多いので人気の山と宿は混む。新緑のころ、夏休みのころ、紅葉のころ、山道は人で渋滞し、宿はいっぱいになる。それを承知で出かけるか、人の多い季節を避けるか、人があまり来ない山に行くか、選択肢はいくつもないが、出かけないでじっとしているといつか寿命が尽きるので、ともかく出かける。
 そんないい加減な人生が曲がりなりにも続いてきたのは、大きくみれば運がよかったからであり、小さくみればたまに運のよいことに出会ったから。失業していた時代は短かったので旅をするくらいのお金はいつもあった(注.わたしの旅は1泊2食450円のユースホステルから始まった。どこでも寝ることができるという特技ももっているので、旅はいつも少しのお金で十分だ)。そして、出かけた山や宿で思いがけない光景や幸運に出会うことがあった。

 雨にあって濡れた山靴を丁寧に乾かしてくれる小さな宿がある。
 新聞紙を丸めて詰めて一晩、乾燥室に置く。客が出立するころに靴を玄関に並べる。それだけのことがどれだけうれしいか、雨に濡れた昨日の足がよく知っている。洗練されたもてなしが評判を呼ぶというような高級和風の宿ではない。この国ではありふれた山際の宿がきちんといい仕事をする。
 ついでながらに言えば、雨の山道で汚れた山靴を脱ぎっぱなしにする客は本来の日本人ではないというのがわたしの考えだ。疲れているが水で洗うなりして山靴の顔を立てる。それを受けて番頭さんがいつもどおりの仕事をする。だれに言われたからするというのではない。日本は地味ですが誰彼となく気遣いをする人の国ですと、外国の方に言いたいときがある。

 いまも次の宿に感謝します。奇しくも両宿とも観光案内所に紹介されて泊まった。担当の中年女性がわたしの希望を聞いて選んでくれた。その方たちにも感謝したい。
◯林家旅館(群馬県みなかみ町湯檜曽温泉、15,000円+税、2007年6月上旬泊)
◯民宿まえだ(岐阜県高山市栃尾温泉、8,400円+入湯税、2009年8月上旬泊)
 
by waimo-dada | 2012-04-27 12:29 | 山と旅
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